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「桐島さんはその、美咲さんという女性が取り憑いていると思っているようです」
ミズキは手帳を見つめながら言った。
「そして厳密には、霊を祓って欲しいというのではなくて、成仏させたいという依頼だったみたいですね」
「はぁ、ややこしいわ」
加奈子は加えた煙草の先に火をつけた。
溜め息と一緒に吸った白い煙を夕焼け空に吹き付ける。
「彼に憑いているのは、かなり強い霊よ。
それも、とっても未練の強い霊」
ミズキは悲しげに眼を伏せた。
「本当に美咲さんは桐島さんのことを恨んでいたのでしょうか……」
「さあね。
ただ少し引っかかってることがあるの」
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