加奈子さんの心霊探偵事務所

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仕方がないのでメモ帳に書いてある番号に電話をかけてみる。 無機質なコール音が1回、2回、3回。 このまま出ないなら6回目のコール音が終わった瞬間に切ってやろうかと考えてみる。 しかし、ちょうど6回目の途中、間延びした男性の「もしもし」が受話器から聞こえてきて、危うく舌打ちしかける。 もちろん顧客にそんな失礼なことはできないので、加奈子はそれを飲み込んだ。 ミズキが鬼の形相で加奈子を睨みつけているから、ではない。 それは断じて違うのである。 「こちらはご相談を承った心霊探偵事務所の者です」 「ぁ……、わざわざすみません」 まだ若い男性の声。加奈子とそう年は離れていないように感じた。 「いえいえ。 ところで本日はどういったご用件でしょう」 「は、はい。 その、実は、霊に取り憑かれてるみたいなんです。多分。 僕の思い違いかもしれないけれど……」
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