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男は自信なさげに口ごもる。
「ええと、女性の霊と伺っておりますが、それは間違いないですか?」
「ま、間違いないです。
た、多分……」
随分と頼りなそうな返事に溜め息をつきそうになる。
間違いないのか多分なのかはっきりして欲しい、と加奈子は思った。
それにしても。
加奈子は先程から受話器越しになんらかの気配を感じていた。
もちろん加奈子の得意とするところの『心霊』の気迫である。
何かしら取り憑いているのは間違いないだろう。
しかしその気迫には、なにか喉に引っかかったような、奇妙な違和感があった。
加奈子は少し考えた後、男にいくつかの質問をした。
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