二人の気持ち

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授業終了のチャイムが鳴ると、皆一斉に帰り支度や部活の準備を始める。 前の席の美沙都が、カバンに教科書を入れながら私に声をかけてきた。 「ねぇ、最近多田野くんと仲がイイよね?」 「えっ!?…うん、まぁ、そうかな?」 「いつから?」 …いつからだっけ…? 「う~ん…、いつからだろう。いつの間にか?」 「ふぅ~ん…。じゃあ、いつから、『瑠奈』って呼び捨てにするようになったの?」 「え?」 そういえば、前は"樫宮"って名字で呼ばれていた気がするけど…。 いつからだろう。あまりにも自然で気付かなかった。 「本当だね。そういえば、いつから、私のことを名前で呼ぶようになったんだろう。光樹くん…」 「えっ?気づいてなかったの?」 「うん…」 「っていうか、瑠奈って基本的に鈍いよね」 「え~!そうかなぁ?」 「うん。っていうか、じゃあ2人は付き合ってるわけじゃないんだ」 「え!?付き合ってないよ!!」 一気に体温が上がる。 体中の体温が、顔に集中しているような気がした。 「…じゃあ、瑠奈の片思い?」 「え!!なんで知っ…」 「分かりやすいね(笑)」 美沙都は、「引っかかった」と言わんばかりに、にやりと笑みをこぼす。 「あ~!カマかけられた~!」 っていうか、光樹くんに聞かれてたら困るんだけど… 慌てて、あたりを見回す。 「多田野くんなら、さっき出て行ったよ。で、いつからなの!?」 美沙都がわくわくした顔で聞いてきた。 ほんと、この手の話好きだよね。 でも、美沙都は口が固いし、信用できる。 「…あの、『笑え!』っていう手紙…光樹くんがくれたものだったの…」 「そうなんだ~!でも、なんで知ってたんだろうね。瑠奈が別れたって」 「えっと…。トオルの話を聞いた時、光樹くんがたまたま横にいて…」 「あっ、じゃあ、あの時言ってた『慰めてくれた人』って、多田野くん?」 「うん」 耳まで真っ赤だ…。きっと今私はすごい顔をしているんだろう。 「まぁ、よかったじゃん。多田野くんなら安心だね。アイツ何考えてるか分からないっていう子もいるけど、きっといい奴だよ。…って、私も仲いいわけじゃないけど」 「ううん、美沙都の人を見る目は確かだもの。光樹くんはとってもいい人だよ」 「頑張れ!瑠奈!」 そういうと、ニカッと笑って美沙都は帰って行った。
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