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昼間呼び出された場所に来てみると、女の子が一人立っていた。
潤んだ瞳で俺を見上げてくる。
「あの、呼びだしちゃってごめんなさい」
うつむき加減にもじもじしながら話す彼女を見て、告白だと悟った。
この子には悪いけど。めんどくさいな…
「いや、何か用?」
そっけなく言葉を返した。
「ずっと多田野くんの事が、す…好きでした!…わ、私と付き合ってください!」
やっぱり…。
頭を下げる彼女をみて、小さくため息を落とす。
この子は俺の何を知っているんだろう。
今、自己紹介したし、面識がないことは確実だ。
「悪いけど、俺はあんたのことを良く知らないし、付き合うことは出来ないよ」
「じゃあ、お友達からでもいいです」
この子しつこいな…
やっぱり、めんどくさい。
でも、勇気を振り絞って言っているんだろうし、そんなこと思っちゃ駄目なんだろうな。
ちゃんと説得するか…
「悪いけど、俺…好きな子いるから…」
「あの、彼女ですか…?」
?。関係なくね?
「いや…。違う」
「じゃあ、私のことを知ってからでも…」
ちょっとイラっとした。
俺は、瑠奈以外を好きになるつもりはない。
「…その子以上に、他の子を好きになる事は、絶対にないから」
あ、勢いできつい言い方しちゃったかな?
ふと我に返ると、その子は涙をいっぱいにためて、あきらめたように『そうですか…』とつぶやいた。
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