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家に着くと、すぐに美沙都は私の家に電話をかけて、泊りの許可を取ってくれた。
それから、ホットミルクを入れてくれる。
まだグスグスと鼻をすすっている私を見つめて、「大丈夫?」と声をかけてくれた。
「瑠奈がそんなに泣くなんて珍しいね。何があったの?」
「うん…。光樹くんが、隣のクラスの女の子に告白されてた…」
「まさか、OKしてたの?」
「ううん…。好きな子がいるからって断ってた」
「なんだ。良かったじゃない」
「良くないよ。だって好きな子がいるんだよ。もう、私、振られるの決定しちゃったじゃない…」
自分で言っていて、また悲しくなってきた。
「なんで?もしかして、瑠奈の事かも知れないじゃない」
「そんな自信無いよ…」
ぽろぽろと涙を流す私の頭を撫でながら、美沙都は話を続けた。
「そうかなぁ?だってさ、少なくとも、私は多田野くんが笑うのは見たことが無いよ。瑠奈の前以外はね」
「え?」
「周りから見た多田野くんのイメージって、冷静で無表情。確かに顔はいいと思うし、無意識で優しいからモテるとは思うけど…瑠奈と話している時の多田野くんは、なんか、そのイメージと違うんだよね」
「そ…そんなことないよ?冗談も言うし、いじわるっぽく笑ったり、怒ったりするよ?」
美沙都はそれを聞くと、ニヤッと笑った。
「ほら、その顔、きっと誰も見たことないよ。少なくとも私は見たことが無い。なんでそんなに自信が無いの?」
「……」
私は、少し迷ったけれど、トオルに襲われそうになった時のことを話した。
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