愛しい人

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眠った時間が早かったからか、目が覚めたのは、朝方の5時だった。 そっと目を開けると薄暗い室内が見える。 あれ? 天井が見える…。 美沙都、ベッドに寝かしてくれたのかな…? 目を凝らすと、見覚えの無い部屋であることに気がつく。 「…え!?」 勢いよく飛び起きて、室内を見渡した。 ここ…どこ? 訳が分からない。 起きたばかりの、まだ働かない頭で必死で考えた。 えっと…、確か昨日は美沙都の部屋に行って、一通り泣いて話をして、安心してそのまま寝ちゃったはずじゃ…。 布団をめくりあげると、まだ制服を着たままだ。 そりゃ、そうだよね。 でも、ここ、美沙都の部屋じゃないよね…。 一体誰の… ふと目線を下に落とすと、ベッドに寄りかかって寝ている人がいた。 「え…?お、男の子…?」 Tシャツとジャージを身につけて、首元にタオルをかけている。 お風呂上がりにそのまま寝てしまった感じだ。 おそるおそる、顔を覗き込んで驚く。 「ええ!?光樹くん!!」 思わず大きな声を出してしまって慌てて口を押さえるが、遅かった。 「う…ん……。瑠奈…おきた?早いね…」 ああ…起しちゃった……。 …じゃなくて! 「こ、ここ…。どこ?」 「あ…?ああ、俺の家の、俺の部屋だよ」 ますます訳が分からなくなった。 「私、昨日美沙都の家にいたはずなんだけど…」 「ああ、櫻井から電話貰ったんだ。ちゃんと瑠奈に説明しろって…」 み、美沙都の奴…。 まさか、光樹くんの連絡先を知っているとは、侮れない…。 「あの、ごめんね。ベッド取っちゃったみたいで…」 そういうと光樹くんは、驚いたように目を見開いたが、すぐに可笑しそうに笑いだした。 「ふっ、ははっ、起きたら男の部屋にいたのに、まず気にするのがそこかよ。本当に瑠奈は純粋というか、可愛いというか…」 光樹くんの口から、無意識に可愛いという言葉が出てきて、思わず顔が熱くなる。 「あ、悪い…」 それに気付いた光樹くんの顔も真っ赤だ。 「あ、あのさ、コーヒーでも飲む?」 「う、うん。ありがとう…」
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