愛しい人

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「ふふっ、いじめてごめん。櫻井に怒られるな…」 「美沙都に?」 振り向こうと思ったその時、後ろから光樹くんに抱きしめられた。 私の体を後ろから包んで、肩のあたりに光樹くんの顔がある。 か…顔が近い…。 「あの…こ…光樹くん…?」 「瑠奈…。俺の好きな子を教えてあげる」 思いがけない言葉に、心臓が大きく跳ねる。 「え!?やっ、ヤダ!…聞きたくない!」 耳をふさごうとするけれども、両手を光樹くんに押さえられて身動きが取れない。 「しっ…。瑠奈…聞いて?」 耳元で光樹くんが囁いた。 光樹くんの少し低い声が、心臓をキュンと収縮させる。 首筋に息がかかって、体が勝手にピクンと震えた。 「俺の好きな子の名前はね…。樫宮 瑠奈っていうんだよ」 「え…?」 「ふふっ、俺が先に言おうと思ってたんだけど、先越されちゃったな…」
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