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真っ暗。真っ白。上と下は対象的だった。でも上からは白い灰がたくさん降ってくる。冷たい、気持ちいい。ごめんね。私、ここに今も存在してる。此処でこうやって身体を投げだして、冷たさを感じている。生きているという事を実感している。
ごめんね。
隣では投げだしてしまった携帯がずっと鳴りつづけている。いい加減出ないと怒られるか。でも出ても結局怒られるのは目に見えている。彼の怒った顔を想像すると、小さな笑が起こる。
「もしもし、隼斗?どうしたの?こんな夜中に。」
「お前どこいんだよ!?何時だと思ってる!」
耳に付けていた携帯を離しても聞こえるくらい大きな声だった。それ位怒っているのだろう。当たり前だ、今の時間は深夜三時だ。二十歳の女の子が外を歩くには少々危険な時間帯である。
「何処だと思う?隼斗こそ何処にいるの?」
「由宇ん家の玄関だよ、ずっと携帯鳴らしても出ないから・・・。」
「あらら、ごめんね。今ね、桜公園にいるの。来る?」
「・・・絶対に動くなよ。」
電話が切れる音がした。
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