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切れた携帯を再び放り出して、空を見る。身体中に降りかかる灰。このまま埋れてしまおうか。白になってしまおうか。そう思いながら目を閉じ、両腕を空へ突き出した。高く高く。手のひらには冷たい感触。ぽたぽたと溶けてはココロのなかの核に触れていく。ココロは小さく叫ぶのだ。いたいと。
「...ゆう」
どれだけそうしていたのだろう。もう感覚が無くなってきている。どれだけ眠ってしまったのだろう。私は本当に溶けてしまったのだろうか。
「起きて、由宇、」
左手が温かくなった。誰かの温度を感じる。昔は怖くて仕方なかった、他人の温度。今は、
「隼人の手、あったかいよ。」
「そりゃお前が冷えすぎてるからだよ、俺だって寒い。」
私の手を握ってくれている隼斗が隣に座っていた。整った顔立ちが、少し歪んでいて、笑ってしまった。こんな顔をさせているのは私なのに。ごめんね。
「早く帰ろう。いい加減にしないと死んじまうから。」
「まだ此処にいたい。隼人は帰っていいよ。」
呆れた?呆れたのなら捨てていいから。
「これの何処が楽しいんだ?」
左を見ると隼斗が私と同じ様に、地面に寝そべっていた。相変わらず眉間に皺を寄せている。
私を見捨ててくれたっていいのに。あなたは優しいね。優しくて、可哀想。優しい人は可哀想。弱い人に頼られて、受け止めてあげて。
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