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「馬車を用意してもらいいっしょにいきましょう」
「うん」
「では、私は馬車の用意をお願いしに行ってきます」
「じゃあ、玄関の所で待ち合わせね」
アリスは頷くとそういって馬車の運転手さんに声をかけに行ってくれた。運転手さんに声をかけにいったアリスの背中はどこか嬉しそうだった。
そんな彼女の姿を見送った後、さてと改めて僕のすることはと考えた時に、学校に行くための準備となる。でも実は、学校に行くための準備の大半は馬車の運転手さんに声をかけること。つまり、大部分の仕事がなくなってしまった。
「あ、アリスと一緒にいけば良かった」
失敗したなと思いながら、僕は少しばかり肩を落としたのだった。その後、玄関に向かいアリスと馬車の運転手さんを待った後、僕達はガタガタと揺られながら学校へとゆっくりと学校への道を進んでいったのだった。
「よお!ケイトにアリス、新婚休み楽しんでるか?」
「うん」
「はい」
シャルガに会ってそうそうの言葉がそれであった。シャルガがいうには、新婚休みなんてとれるのか、羨ましいとのこと。可能ならば俺も休みが欲しいなどと笑いながらそんなことを教室に入る前の廊下で口にしていた。
「で、今日はどうしたんだ?新婚休みなのに」
「あのね、情報屋『千里眼』についてシャルガが知ってるって父さんが言って行ってたから聞きに来たんだ。もしよかったら、彼女以上の情報屋がいれば教えて欲しい」
「何か情報が必要になったのか?」
「うん、まぁね」
僕のお茶を濁すような言葉に、少しだけシャルガは眉をしかめながらも教えてくれた。
「情報屋『千里眼』についてだが、この前、俺が貰った情報に間違いはなかった」
「本当に?」
「ああ、しかもかなり重要な情報を彼女は知っていたというべきかな?」
「そんな情報を?それに彼女ってことは女の人?」
「ああ、小さな女の子だよ。情報屋『千里眼』は。そして彼女には、こうなることがわかっていたんだろうな、お前に伝えろってさ。私は魔力を持っていないってよ」
魔力を持っていないということは、精霊さん達に出された課題があっさりと今解決したわけだ。それどころか、情報屋を求める必要も無くなってしまった。なんだか、僕の頑張ろうとしていることが、まるで先回りしているように解決していくことになんだかなと考えてしまった。
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