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そんな時であった、後方からジュリアスが小走りでやってきた。
「あれ?二人とも新婚休みとってたんじゃなかったのか?」
「うん、ちょっとシャルガに情報屋『千里眼』について尋ねたいことがあって」
「へ~情報屋ね。何か情報が必要ってことか」
などとジュリアスはひとりで納得したように頷く。そんなジュリアスに対してシャルガが声をかけた。
「何かわかったのか?」
シャルガはジュリアスに対してそう問いかける。彼らも何か調べている。それをまるで僕に見せつけるかのように尋ねるシャルガに少しばかり違和感を感じながらも何を調べているのかが気になって仕方がない。
「ああ、まぁ本人を目の前にしていうことじゃないかもしれないが」
ジュリアスは少しばかり僕の方を見た後に、遠慮がちながらも口を開いた。
「マクセル領に過剰戦力が集まっていることが確認された」
「過剰戦力?」
ジュリアスの言葉にシャルガが眉をしかめる。確かに過剰戦力だよね~と考えながら、1つ息を吐き出した。あれを過剰戦力といわずしてなんというのだろうか?おそらく今回の戦争で一番安全なのは間違いなく、マクセル領だろう。
「11年前の戦争時に、俺達人間に手を貸してくれた人間とは姿形が異なる種族達がなんでも集結してきているらしい」
「何故マクセル領一点に集まってるんだよ?」
「それは分からない。直接本人に聞いた方がいいでしょ」
そんなまるで、予定していた台本を読んでいるかのような二人が僕の方へと視線を向ける。おそらくこのやり取りは予定していたことなのではないだろうか。しかし、それにしてもジュリアスの元に情報が届くのが異常に早い気がする。もしかしたら、彼はマクセル領に情報を収集する人材を派遣している可能性が高いのではないだろうか。
「わかりやすい演技ですね」
アリスは飄々とした態度でそう言ってのけた。それに対して彼らは苦笑いを浮かべるだけ。流石にこれでは彼らを庇いようがないよと考えながらも僕は口を開いた。
「確かにかなり過剰戦力が集まってるね。人間が作った料理を提供する代わりに、マクセル領を守ってもらう約束をした」
「料理?」
「うん、彼らにとっても人間の料理というのは魅力的な物らしいよ」
ジュリアスとシャルガは信じられないといった感じで、二人とそろって目元を揉むのであった。
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