序章~百鬼夜行~

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 もちろんただの言い伝えであり、実際に百鬼夜行を見たなんて人は聞いたこと無いし、信じてもいない。  だがこの日だけ街の人々は日が沈む前に家に帰る。無論、俺自身もこれまでそうしてきた。実際の所、皆本気で百鬼夜行を信じてるわけではない。仕事を早く終われるちょっとした休日のような感じだ。  だから両親からも、あんまり遅くなるなとメールが来たくらいだった。  百鬼夜行なんてありえない。俺は足を速めた。  歩いていると異変に気づいた。道の奥に光がある。電気や星の光ではなく、ろうそくとか提灯の灯りのようだった。  俺はその光に恐怖を感じ足を止めると、光は徐々にこちらに近づいてきた。さらに祭りのような笛と太鼓の音が聞こえる。陽気な音なのだが得体の知れない恐怖を前にし、足がすくみ動けない。  絶対やばいここから逃げないと、今すぐにでも走り出したいが体が言うこと聞かない。  人を何人もおぶってるような上から押し付けられる生まれて初めての感覚に、声も出なければ涙も出ない。  音と光がさらに大きくなる。するとそれの正体が分かった。
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