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暗い暗い夜。
田舎だからこそ在る、月と星の光しかない夜。
真上に輝く丸い月は青白い。
「早く来ないかしら…。」
月明かり差し込む森の中、木々の間から空を見上げる少女は言った。
返事をする者は居ない。
聞こえるのは、ただ木々が風に揺れる音だけ。
「あと少し待ってみよう。」
少女は空を見ながら、呟いた。
そして、夜は明ける―…
陽が昇り少したった頃、ふいに近くの木が揺れた。
風はない。
「……やっと来たのね。」
自分にしか聞こえない位小さく言い、少女は立ち上がった。
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