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琳琳王女より一つ年上の景王子は、王女の従兄であり幼なじみであり、そして初恋の人であった。
年に一度、里帰りが許された孫王妃は、毎年必ず琳琳王女を連れて丁国の都、丁都の王宮へ帰省した。王女は自然に年の近い景王子と仲良くなり、二人は毎日、王宮のいろんな所で暗くなるまで遊んだ。特にお気に入りの場所は、王宮の裏にある「祈りの丘」と呼ばれる丘であった。そこからは遥か彼方に貴陽国が見渡せたのだ。
「琳琳、大人になったら真王様にお願いして、お前をお嫁さんにするよ。そうすれば、ずっとお前と一緒に居られるだろう?」
「うん、私も景王子のお嫁さんになってずっと一緒に居たい。」
琳琳王女が貴陽国へ帰る前日には、いつもそんな幼い約束が交わされた。しかしさすがに、お互い適齢期となると結婚のことは口にしなくなっていた。そしていつしか王女の幼い恋は想い出として胸の奥にしまい込まれた…はずだった。
「なのになぜこんなに胸が苦しいの?景王子の結婚は喜ぶべきことなのに…」
琳琳王女の心の中は、太武帝との結婚を知らされた時よりもざわめき立っていた。
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