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翌朝、大殿の前で景王子の結婚式が厳かに執り行われた。花嫁の明亮皇女は、真紅の花嫁衣装に身を包み、時折、恥ずかしそうに景王子を見上げる姿がとても印象的だった。
(可愛らしい花嫁さんね。とてもお似合いで安心したわ。)
琳琳王女は素直にそう思った。結婚式が済んで部屋に戻り、次の晩餐会の準備をしているところへ宮女がやって来た。
「琳琳王女様、皇女様がお呼びです。」
案内されるままついて行くと、宮女は、昨日から気になっていた新しい宮殿へと入って行った。
「ここは何と言う宮殿ですか?以前はなかったはずだけど…」
「はい、ここは王子様と皇女様の住まわれる新しい東宮殿です。王子様のご結婚に備えて三年前に建設が始まり、最近ようやく完成しました。」
「そうですか。この三年は私も公務をするようになり、忙しくて丁国に来れなかったから知らないはずですね。」
琳琳王女は、幼い頃からよく知る景王子がいつの間にか遠い存在になっていたように思えて少し寂しく感じた。
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