第二章 もうひとつの結婚

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琳琳王女は、東宮殿の西側の長い廊下の突き当たりの部屋に通された。 「明亮皇女様、ご結婚おめでとうございます。私は貴陽国王女、琳琳と申します。この度はお目にかかれて光栄です。」 格下の王女から格上の皇女への礼儀として、琳琳王女がまず先に挨拶した。 「こちらこそ、早く琳琳王女にお会いしたかったわ。それに、もうすぐお義姉様になられるんだから、これからは堅苦しい挨拶は無しにしましょう。」 明亮皇女は柔らかに微笑んで、琳琳王女を部屋の中へ招き入れた。 「わぁ!何て素敵な蓮池なのかしら!」 皇女の部屋に入るとすぐに目に飛び込んで来たのは、大きな窓の外に広がる見事な蓮池だった。 「私も一目見てこの部屋が気に入ったわ。この宮殿は蓮池を囲むように建てられているんだけれど、この部屋からの眺めが一番美しいのよ。」 二人はお茶を飲みながら、お互いの事について話し出した。偶然にも二人とも十八歳とわかると、さらに話が弾んだ。 「新しい皇后が琳琳王女でよかった。貴方ならきっと兄を幸せにできると思うわ。」 「え?私が陛下を幸せに?」 「ええ。廃皇后は品格も教養もある人だったけれど、実は兄が即位した頃に心を病んで、ほとんどまともに話すことが出来なくなってしまったの。だから廃位の話が出た時も反対する人が少なかった。実家に帰したのも、冷宮では病が悪化するという医師の判断によるものなの。そして、三人の側室達はと言えば、いつも対立していて、兄はとても孤独だったのよ。」 「廃皇后がご病気だったとは知りませんでした。それに、側室が三人も居らっしゃるんですね…」
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