第三章 幻の結婚式

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冊立式が終わると、大殿では使者をもてなす宴が盛大に開かれた。 「親妃とは聞き慣れない称号だが…」 真王が使者に向かって尋ねた。 「はい、皇帝陛下は琳琳王女様のために新しい称号を作られたのです。貴妃の定員を増やせば、欠員が出た時にまた補充せねばなりません。しかし、陛下は側室を増やすおつもりはありません。親妃とは、言わば皇后代理のような存在なのです。」 「なるほど。それを聞いて安心した。これで快く娘を送り出せる。」 「ご安心下さい。お迎えの馬車も、本来は皇后専用の四頭立てでございます。後宮でのお住まいも、皇后様用に改装された宮殿をお使い頂くことになります。」 琳琳王女は、太武帝からの手紙を思い出した。王女のために改装しているという宮殿が使者の言う宮殿のことだろう。 「それはとても楽しみです。使者殿、道中よろしくお願いします。」 結婚式が無くなったことで琳琳王女の出発が早まり、使者達もそのまま貴陽国に留まり、琳琳王女を連れて帰国することになったのだ。
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