第一章 王女の結婚

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琳琳殿 本来ならば、こちらから真王に求婚の挨拶に伺い、貴方とも親交を深めてから婚約すべきだったのですが、貴方の意思も確かめず急遽縁談をまとめてしまったことをお許し下さい。そのことで貴方を苦しめていないかそれだけが心配です。 ところでそちらの準備ははいかがですか?こちらは順調です。恐らく貴方が一番心配しているであろう問題は、既に解決しました。つまり、皇后陳氏を廃位したということです。後宮の規定では廃位された后妃は冷宮に入る事になりますが、貴方が宮中で顔を合わせて気まずい思いをしなくてもいいように、陳氏は実家へ帰しました。ですから誰にも気兼ねしないでください。 貴方を迎えるにあたって新しい宮殿を作りたかったのですが、ここのところの戦でその予算もありません。とりあえず皇太后が使っていた宮殿を改装して貴方のための宮殿にします。貴方の好きな家具や調度品も揃えましょう。希望があれば何なりと言って下さい。貴方が過ごしやすいように最大限の努力をします。どうか何も心配なさらないで下さい。そしてお健やかにお過ごし下さい。 追伸 十二年前、貴陽の宮殿でお会いした小さな可憐な王女も、あれからきっと恋の一つや二つ経験して魅力的な女性へと成長なさっていることでしょう。本音を言うと、今すぐにでも飛んで行って早く貴方にお会いしたい。でもそれは結婚式の楽しみにとっておきます。 武亮
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