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ある日。
ついに私は尋ねてしまった。
「貴方、自殺…でしたよね?」
「……見てたんですか?」
「仕事ですから」
「無様でしたよね」
「そんなこと…」
彼は40歳半ば、会社をクビになり自殺を思いたったという。
「自分で死のうと首吊ったのに、すごく苦しくて…」
「何故…死のうと思ったんですか?」
「何故って…生きていく自信がなくなったからですよ」
「何故生きていけないと?」
疑問を一気にぶちまける私はもう止まらない。
「…借金もあるし、働かないといけないのに…会社をクビになった…もう私の歳だと再就職も難しい」
「何故働くんですか?」
「…結局はお金がいるんですよ」
「働けばお金というものがもらえるんですか?」
「じゃあ、貴女は何故死者を導いているんですか?仕事じゃないんですか?」
「え?」
そんな事考えもしなかった。私は生まれながらにして自分自身がそういう生き物だと思っていたのだ。
「貴女のやる事に意味はあるのですか?」
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