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「……」
その様子を馬車の影から見ていたソウは、唐辛子を一気に二つも頬張っていた。
ぷくりと丸く膨れた頬を、ロータスがマニキュア付きの爪でつつく。
「羨ましいんでしょ」
「……別に」
「ふふっ……。可愛い理由で知識を集めてるくせに……」
「私本当にロータス嫌い」
ソウは不機嫌に唐辛子を噛み砕き、飲み下した。ぽうっと星々を見上げる。そこに――一人の女性の顔が浮かんだ。
「さて……とりあえず任務は完了ね」
ロータスはラルフに、一枚の用紙を渡す。用意した羽ペンで、ラルフはそれにすらすらとサインをした。
「……掴めてないか? アービアの動き」
「ええ。掴めない。まあ簡単に掴めないから……この稼業やってるんでしょ? あんたは」
ラルフは、いつもの皮肉な笑み。
「まあね。……出来れば、補強した国家に……奴らの兵器が撃ち込まれたくないものだけど」
「まあいいじゃない、今はそんな固い話は……。それに、母国を悪く言わないの」
「無理だね。……とりあえずお茶にしよう」
一仕事終えた補強屋達は、その後も三日間滞在し、去って行った。
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