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この男も、「八割」の一人。出来ればあまり話したくない類の人間だったが、女性はカップを静かに置いて答える。
「答える必要はないわ。ただ……貴方達はいつも通りに仕事をしてくれればいい。前払いの意味、よく含みおくようにね」
女性はもう一度「プロフェッショナル」達に視線を送り、席を立った。この場所は空気が悪い。早く外に出たいが、ここは地下深くに作られている。
仕方がない。ドアをくぐった女性は、隣の相方の肩を叩く。
「どうした? ……まるで、しおれかけた花のような顔をして」
「あんたの変な比喩はいいから……。……早く出たいから、私を背負って行ってくれない?」
「合点」
男は先ほどまでいた部屋のドアを後ろ手に閉めると、自分の上着をめくり、腹を出す。
そこには、傷があった。皮をそっくりそのまま母の胎内に置いて来たような、美しい傷が――
「最大でよろしいので? 私の最高速度は、まるで隼が」
「無論よ。早く行きなさい」
女性は男の背中におぶさりつつ、さっきまでいた部屋を確認する。――見られている。
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