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「松崎結女っ・・・!!!!」
クラスの女子がイライラした表情であたしの名前を呼ぶ。
この人・・・誰だっけ?・・・
「・・・なに?」
「ちょっと来て!!!!!」
そう言ってあたしの手首を掴んで引っ張る。
・・・めんどくさい。
あたしは仕方なくついていくことにした。
ぼーっとしながらついてくと、いつの間にか屋上まで来ていた。
「なんであんただけが優くんに近付けるんだよ!」
そう言って悔しそうに、憎らしそうに顔を歪める。
「あんたのお守りがあるから優くんは遠慮してるだけでっ」
そう言いながらあたしの髪を掴む。
一瞬痛みが走ってすぐに治まる。
それと同時にさっきまであたしに降り掛かってた悪口もピタリと止まった。
「優く、ん」
「・・・優・・・」
「結女の綺麗な長い黒髪に触れないでくれる?・・・」
「っ、ごめんなさい・・・」
「あ、結女!!これ♥」
優があたしにオレンジジュースを渡す。
あたしは優の手からそれを受け取り、優に向けてぶっかけた。
「余計なことしないでっ!」
・・・なんでこんな行動をとったのか、どうしてこんな冷たい言葉を優にふっかけたのか。
自分でも全くわからない。
同じクラスの女子はそそくさと逃げていった。
「・・・なんで俺が怒られなきゃなんねーんだよwやっぱ結女はよくわかんねぇw♥あ、髪・・・大丈夫・・・か?」
優が心配そうに、壊れ物に触れるように、優しくあたしの頭を軽く撫でる。
「大丈夫。」
そう言ってあたしは優から少し離れた。
「・・・結女?」
「オレンジジュースくさい。」
「なっ・・・?!?!・・・ったく。」
そう言って優がワイシャツを脱ぐ。
「べったべたー・・・」
優が楽しそうに、少しあたしに呆れながらそう言う。
・・・あぁ、愛おしい。
あたしはリリーを抱きながら、優を横目でチラ見し、改めてそう思った。
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