トキソプラズマ

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「やぁ後輩君、今日も元気かな?」  ツンと突き抜けるような声が、後ろから僕を呼んだ。 「むふふ、相変わらずかわいいのう後輩君はぁ」 「またですか先輩、あぁもう!ひとのおかず取らないで下さいよ!」 「むぐむぐ、ふむ……これは絶品卵焼きですな」 「どう見たってそれウインナーでしょう!なんで卵焼きになるんですか!」 「私のくだらないボケにまでいちいち突っこんでくれる後輩君、好きだぁ愛してるぅ」  背後から突然抱きしめてくる、ふわっと、花様の香りが鼻腔をくすぐる。 「はいはい、わかってますよ~」  先輩はいつも、好きだとか愛してるとか言うけれど僕は知ってる、先輩の心の中では誰も愛してなんかいないし、信頼もしてない、ましてや頼ることもなければ許すこともない。根拠、いや勘ですらないけど、そうだと断言できる。眼だ、先輩の眼がそうだと言っている。 「むふふ、今日も放課後いいかい?二人きりでいちゃ付き合おうじゃないか」 「いちゃつくったって、僕のオカルト体験にしか興味ないくせに……」 「何を言うんだね!あんなに愛し合っているじゃあないか!いやこんなに、というべきかな、ほら」  頭の上に心地よい天上の感触、向かいのいつも先輩との絡みを見慣れている友人ですら、その箸を止めるほどの威力。  そう〈おっぱい〉である。  先輩がそのふくよかな〈おっぱい〉を、僕の頭の上に置いている。昇天しそう……。 「せ…先輩、なにやってるんですか?」 「うむ、おっぱいを乗せている。後輩君は好きだろう?おっぱい」 「はい、だいすきです。……じゃなくて!そんなえっちいことなんてしないでしょう?!どうしたんですか!いやなことでもあったんですか!?」 「いや、後輩君と付き合うようになってからもうすぐで半年だろう?もうそろそろ、こういったコミュニケーション、いやモミュニケーションは必要だとおもってね?」 「くだらない上にセクハラギャグですか!もう、行きますから、静かに弁当くらい食べさせてくださいよぅ」 「そうだな、私もお昼なしはつらい。ではこれにて失敬、食堂へ急がせてもらう」 「今からだと食堂こんでますよ~ってもう行っちゃったよ」  教室から行き良いよく出ていく先輩を見送って、振り返ると友人がうずくまっていた。 「どうした?」 「勃起した」 その言葉で、先ほどの珍事を思い出し僕も勃起した。
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