42人が本棚に入れています
本棚に追加
食事を終えて再び写真に目を落とした。
「こんなちっちゃいのに、ちゃんと生きてるねんで。
来週には心臓動くん見える予定なんやって。
すごいなぁ。
うちら、パパとママやねんで。」
「ほんまやなぁ。
おかんに電話せなあかんな。
確定診断受けたんやし。」
そう言って誠は電話をし始めた。
私もわざと離れた場所で母親に電話をした。
母親は
『まだおめでとうはゆわへんからな。
あんたらがちゃんと籍入れて環境整ってからお祝いしてあげる。
明日、退学の手続きしてきぃや。
私のサインとかもいるやろからとりあえず送ってきて。
あんたはおとなしくしてなあかんから。』
冷静な声の陰に嬉しさが綻ぶ話し方だった。
母との電話を終え言葉の重みを噛み締めた。
おめでとうはまだ言わない…
確かに私達が望んだ環境でできた子ではない。
子育てに関しての環境は全く整っていない。
.
最初のコメントを投稿しよう!