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……ついそこで見て来たばかりの、当主大友フランシス様と天主堂が組み合わさった絵姿を思い出す。
俺は嘆息とも深呼吸ともつかぬ息を吐き出し、眼鏡を整え呼び出された間に繋がる襖を開けて低頭した。
「失礼致します。関根祥太、御呼びにより参上致しました」
「これはこれは…御無沙汰でしたね、関根殿。どうぞ、此方にいらしてください」
「…はい」
間の奥からの雅な声に招かれ、タラと共に声の主へと近寄る、その間も視線は畳に投げたまま、顔は上げない。
そしてその方の面前に膝を付いて平服し、後にようやく顔を上げる……も、口上を述べようとした矢先に親愛の笑みを投げ掛けられ、一気に困窮した。
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