119人が本棚に入れています
本棚に追加
寸劇
「ぢょ、ぢょっき…さん……ぢょっ…ぎざ…ん…」
私は言った。
私の目の前に立つ、おしゃれなメガネをかけた男性……ちょっきさんが口を開く。
「てんめー…。
性懲りもなく、またしてもどこから(俺の家に)侵入してきやがった…!?」
そう言って、胸の高さで握り締めた右の拳を、前後左右に激しくガクガクと揺さぶる。
ちなみに、その握りしめた右の拳は、説明するまでもなく私の襟首をつかんでいる。
ガクンガクン揺れる視界に、生意気にもこじゃれたちょっきさんの部屋…略してメガネルームが映る。
そんな嵐の中の漁船のように大揺れな視界の中、私は思った。
ああ…。
やっぱりちょっき邸はいい…。
こんな臨死体験、自分のアパートではなかなかできない…。
2ヶ月前、お風呂の中でBLコミックを5時間ぶっ通しで読んでいる最中、意識が飛んだ時以来だ…。
そんな事を考える私の脳裏に、またしても去年亡くなったおじいちゃんの姿が映り始める。
にこやかな笑顔を浮かべた、私のおじいちゃんが…。
しかし今度のおじいちゃんは、前回見た時のような全身白装束ではなく、なぜか全身交通誘導員の制服を着ている。
そして、右手に持ったうまい●棒(メンタイ味)を、交通整備の人形がするみたいに、右下から左下へと勢いよくスウィングしている。
どうやら、私を交通誘導しているようだ。
確かにメンタイ味は私の好みだ。
もっとはっきり言ってしまえば主食だ。
食べたい…。
あのうまい●棒(メンタイ味)が…どうしても…。
最初のコメントを投稿しよう!