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「なっ!?」
突然携帯を奪われ、あたふたするちょっきさん。
その隙をついて、ぐるんと素早く後転する、かっこいい私。
間合いをとり、膝立ちの状態になった私に、慌てて距離を詰めようとするちょっきさん…略して距離詰めメガネ。
そんな距離詰めメガネに、私はすかさず携帯を突きつける。
「おっと動くなよ、おしゃれメガネ?
そこから一歩でも動いたら…」
小悪党のような台詞を吐きつつ、ちょっき携帯を、ゆっくりと口の真下に持っていく。
そしてわざとらしく、唇をぺろっと舐めた。
おしゃれメガネの表情が、一気にひきつる。
続けて私は言った。
「勘のいいあんたは気づいたようだな…?
私に逆らうと、この携帯がよだれまみれになるということに…」
青ざめるおしゃれメガネ。
「や、やめろ!
その携帯には、執筆中の『Kの悲劇5』が保存されているんだ!」
…今、ちょっきさんが言った『Kの悲劇5』。
それは一言で言ってしまえば、携帯小説のタイトルだ。
しかし、ただの携帯小説ではない。
書籍化され、莫大な印税を生んだ『Kの悲劇』シリーズの最新作なのだ。
従って当然、この『Kの悲劇5』にも莫大な価値がある。
そして私の狙いは、この携帯を私名義に変更し、『Kの悲劇5』の所有権を奪うことにある。
そこでさっき説明した携帯名義変更ウイルス(※3)、『Uの悲劇2』が生きてくるというわけだ。
(※3:やっぱ前作なんて見なくていいです。時間がもったないです。
皆さん、限りある時間を大切にしましょう。にこにこ。)
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