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私の動向を伺いながら、おしゃれメガネが慎重に口を開く。
「ち、チロルチョコを買ってやるから、その携帯を、返せ…!」
その甘美な誘惑に、一瞬頷きそうになる私。
しかし、私はその誘惑を断ち切るように、頭を左右に振った後、言った。
「Bigカツもつけろ!」
その発言に、おしゃれメガネのおしゃれなメガネが曇る。
一瞬私は、『交渉決裂か…』と思った。
そして、携帯に向けてよだれを垂らす準備をはじめた。
…レモンレモンレモン…。
分泌を促進させるために、酸っぱいレモンを思い浮かべる。
しかし、まだ交渉は終わってはいなかった。
私の全ての予想を裏切り、おしゃれメガネが苦しそうに言う。
「Bigカツは高い!
よっちゃんいかにしろ!」
「YES!!」
…その一言で決着はついた。
ぴょいんぴょいんとスキップをしながら、おしゃれメガネに近づく私。
そしてメガネが目前まで接近した時、それは起きた。
パシッ!
「ふははははっ!
まんまと騙されやがったなゴミ野郎!」
その台詞を聞いた瞬間、ようやく私は気づいた。
『なんだかわからんが騙されたらしい…!』
と。
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