寸劇

6/6
前へ
/43ページ
次へ
私の手から携帯を奪ったおしゃれメガ…ちょっきさんは、にこやかに笑いながら口を開く。 「さあゴミ野郎、いい子だからウイルスを除去しろ。 今ならキャベツ太郎も買ってやるから」 キャ、キャベツ太郎…! その言葉を聞いたからには、私の心は、全力でウイルスを除去してあげたい気持ちでいっぱいだった。 …が、それは無理な話しだった。 「なぜなら、ウイルスを除去するためには、『Uの悲劇2』内の推理クイズ型の本編を解き、除去用のパスワードを得なければならないからだ。 そして、今回もけるべろす(ちょっきさんちのペット。犬種:ライオン)に左側頭葉をかじられた私は、自分で設定したパスワードを完全に忘れていたのだ」 「またかてめーっ!!」 ゴスッ!! 「ぺねろぺッ!!」 ちょっきチョップ2号が私の脳天に炸裂する。 どうやら、脳内で垂れ流していた言葉を、そのまま口から垂れ流していたらしい。 まさしく源泉垂れ流しというやつだ。 しかしページ数の関係からか、『むしろ好都合だ』と言わんばかりに、ちょっきさんは携帯を操作し始める。 「じゃあ、今回もこれを解けばいいわけだな?」 文句も言わず、すっかりやる気になっている様子のちょっきさん。 今回もすでに(進行が)おしはじめているらしい。 だから私は言った。 「つべこべ言わずに解きやがれ、このおしゃれメガぷぎょっ!!」 ドサリ。 再び床に崩れ落ちる私。 その私の前にしゃがみ込み、再び携帯を操作するちょっきさん。 そしてこの、心の底からどうでもいい寸劇は、ようやく登場人物紹介へと進んでいくらしい…。
/43ページ

最初のコメントを投稿しよう!

119人が本棚に入れています
本棚に追加