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28歳
今年の11月には29歳になる
私、山内紗和
もちろん偽名
でもほかのことはあまり嘘をつきたくない
もう存在自体が嘘みたいなもんだから、どれが私の本当なのか良く分からない。
でも、素を出して自分の言いたいこと、やりたいことだけやってご飯が食べられるほど社会は甘くないし、それを夢見るほど子供ではないです
きっとみんなもそうだと思う。
みんなそれぞれその集団で求められている自分を少なからず演じている…と思う
まぁ、そんなことはどうでも良くて
28になったけど二十年前の私はこういう人生を送っているとは思わなかった
ノストラダムスの予言が当たって高校生の時に死んでいるか
もし予言が外れても母と同じように23歳で結婚して、25歳で子供を産んでいると思っていた
そして専業主婦になっていると思っていた
今の私は結婚はしているけど子供はいない
白猫が一匹
休日も仕事をしていたいワーカーホリック
今日は休みだけど六時間後にはバイトに行く
整頓も苦手で掃除も嫌いときたものだから急にお客は呼べない
主人はよくこんな嫁をもらったものだと感心する
子供のころの私はもっと28になれば大人で、子供を産んで育てて、旦那さんを支えている貞淑な人間だ、と思っていたけれど、現実は昨日は仕事でベロベロに疲れてそれでも餃子を餡から作り、その餃子を食べながら晩酌をして深夜“鋼の錬金術師”を観て「足が痛ーい、むくむ」
とか言いながら寝た
たまに昔の私がタイムスリップしてきたら彼女はどう思うかと考える
嘆くだろうか?
怒るだろうか?
泣くだろうか?
でもこうやって肉体も精神もすり減らす毎日でも私は胸を張って「毎日幸せだ」と言ってあげたい
私はこんな毎日が愛おしい。
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