15才・春 〈再会〉

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「結希、話があるんだけど、今いい?」 母親から、出掛けに声を掛けられた。 前は、こんな風に聞かなくても、すぐに話し掛けてたはずなのにね。 「ごめん。私、急いでるから、また次にして。」 「今日は、何時ごろ帰ってくるの?」 「…わからない。」 母親の顔を見ることなく、後ろ手にドアを閉めて、家を出た。 3月の朝は、まだ少し肌寒く、身震いしながら自転車にまたがる。 ここ1年半でだいぶ長くなった髪を風に絡ませ、自宅前の坂を一気に下りながら、駅へと向かう。 早く 大人になりたい。 早く 一人になりたい。 早く 今から抜け出したい。 早く… 早く……
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