44人が本棚に入れています
本棚に追加
束は思いの全てを、源じぃにぶつけた。
高校に行かなくても、一人前の立派な男になる覚悟があること。
金銭的な問題だけじゃなく、自分なりに一生懸命考えた結論であること。
そして、源じぃに少しでも幸せでいてもらいたいこと……。
束の話を最後まで聞いた所で、源じぃも思いを口にした。
束の成長を心から願っていること。
その為に、もっと広い世界を知って貰いたいこと。
金銭面は心配しなくても、高校に通わせてあげられるアテがあること。
そして、束と生活をして、既に十二分に幸せだったこと……。
その話の後、大粒の涙を流す束と、照れ臭そうに笑ういつも通りの源じぃの姿があった。
後日談ではあるが、束が通うことになる高校に既存の交通機関を使うと、登下校だけで一日が終わってしまう事を、源じぃは話していなかった。
二人の間に、もう一波乱あったことは言うまでもない。
最初のコメントを投稿しよう!