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「しかも親しくお付き合いって…もしかして彼氏さん!? キャー、ひかりちゃんも隅に置けないんだから!!」
「いやいや彼氏違うからね!? 私としてはただの友達としか…」
「彼氏ですか…ふふ、そういうことにして」
「おくな! 語弊のある言い方やめい!」
ミミの言葉に悪乗りするような形であらぬことを言おうとしたダスクに、ひかりは全力で阻止するのであった。
ひとまずひかりはダスクの発言で逸れに逸れまくった本題に戻すため、咳払いをしてミミとニャミに向き直った。
「こほん。…っとそうだ。私達MZDに会いたいんだけどさ、彼が今何処にいるかわかる?」
「MZD? うーん…」
ひかりからMZDの居場所を尋ねられたミミとニャミは首を捻り、考えるように唸る。
と、二人はやがて困ったように眉を下げた。
「実は私達も最近会ってないんだよね。なんだか珍しく忙しいみたいでさ」
「うんうん。影くん曰わく“今は手が離せないから”って」
「マジか…っていうか、事実とはいえ“珍しく”って言い方は結構失礼な気がするんだけど」
「MZDだから良いんだよ」
「そういうものなのか」
付き合いが長いからか何なのかミミ達からやけに酷い扱いを受けるMZDに、ひかりはほんの少しだけ彼に同情するのであった。
しかし、MZDが多忙な時に来てしまったのは些かまずかったかも知れない――とひかりは思う。
MZDは本業である世界創造の他には作詞作曲も手掛け、尚且つ学園運営等にも携わっていると聞く。
それらの仕事をどうやりくりしているのかは定かではないが、多忙を期している時にアポも無しに訪問するのは些か気が引けるのだ。
出直すべきか否かを考えていたひかりを見つめていたミミだったが、やがて助け舟を出すように言った。
「あ、でも仕事場にはいるみたいだから訪ねてみたら? 来訪者のひかりちゃんだったら、MZDも少しは時間空けてくれるかも!」
「わかった、訪問してみるよ」
ひとまずMZDの元を訪ねてみることには始まらない。
ミミの提案に頷くと、ひかりは再びビルへ足を向けた。
「じゃあ、私達はこれで失礼するね」
「またねひかりちゃん!」
「影向さん、後でひかりちゃんとの思い出話聞かせて下さいね!」
「もちろんですとも」
「待て、なんつー約束してるんだそこ」
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