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「うわお!? …って、ちょっと待てここ街中! 街のど真ん中!!」
少女を背に預けながらも漆黒マント達の刀の攻撃を紙一重で回避したひかりは、体勢を立て直して彼らを見据える。
まあ彼らの言動や雰囲気から考えて、この展開もある程度は予想出来ていた。
しかしこの街は一般市民も数多く暮らす音楽世界の中心地にして、音楽世界の創造神MZDの目が一番届く場所。
そのような賑やかな場所で、しかもMZDの仕事場であるこのビルの前でまさか刀を抜くとは思わなかったのである。
というよりこの状況、普通ならば間違いなくMZDからお咎めを受ける程のものだろう。
ひかりの言葉に、今までの言動からしておそらくリーダー格であろう漆黒マントは鼻を鳴らした。
「手段は選ばず任務を遂行せよとの御命令なのでな。悪く思うなよ、旅人の娘」
「余計タチが悪いわ!」
そんな傍若無人かつ超合理主義的な命令を下した親(玉)の顔を見てみたいものだ。
そしてそんな命令をあっさりと承った輩には、余計この少女を渡すわけにはいかないと改めて思った。
「しかも、このままだと他の民間人も巻き込みかねないし…」
「では、僕が殲滅してみせましょうか?」
「ダスクの手を煩わせるまでもない。むしろ辺り一面が血の海になる気がするから、手出ししないでこの子を守ってくれると嬉しいな」
「そうですか」
抑止力と言わんばかりにひかりから少女を託されたダスクは残念そうに肩をすくめたが、その表情は終始笑顔のまま。
少女を預けたことで身が軽くなったひかりは、右袖の中から柄に蒼布が巻かれた白銀の十手を取り出した。
「しゃーねぇな、まとめて相手してやらあ!」
売られた喧嘩は買うのが筋と言うように、ズビシ! と十手の先を突きつけたひかり。
彼女の言葉に漆黒マントは目を細め、小馬鹿にするように言った。
「馬鹿かお前は? 数が多いと言えど、この者達はみな手練れ。お前のような一般の旅人が太刀打ち出来るわけがないだろう」
「そっちこそ、只の旅人の小娘と見て舐めたら怪我するよ」
「ふん…ならばそれ相応の実力を示すのだな。行け!」
リーダー格の漆黒マントの指示で、刀を手に再び襲いかかる他の漆黒マント達。
しかしひかりは全く動じることなく深呼吸をすると、体勢を少し低くして十手を構えた。
「神双二閃流…刀返し」
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