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――あれから幾年月が経ったのかしら。
10年? 50年? はたまた100年だったかしらね?
ワタシにとっては長い時間だったわ。
長い長い、まるで牢獄で過ごす永劫の時間のようだった。
でもそんな退屈な時間はもう終わり。
ワタシね、長い年月を深い闇の中で過ごしたお陰でこの子達と仲良くなったの。
ワタシと同じ、深い闇の中で過ごしてきた綺麗な綺麗な紅い蝶。
この子達はきっと、アナタやアナタが造ったこの世界の住人達と仲良く遊んでくれる筈よ。
……アナタの世界が壊れるまで、ずっとね。
さあ、一緒に遊びましょう?
「神ー、砂糖とミルク持って来……え?」
数分後。ハテナがお盆に角砂糖の入った瓶と牛乳パックを乗せて戻ってきた部屋にMZDの姿はなかった。
「…神!?」
状況に驚愕したハテナは、慌てて周囲を見回す。
しかしMZDが座っていた椅子には彼のペンが転がっているだけで、彼自身は部屋の何処にもいない。
開け放たれた窓から吹き込む風でカーテンが靡くと共に、書き途中の楽譜が宙を舞った。
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