File.01 とある変人娘の災難話

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  「てなわけで、だ。ひかり、お前今からちょっと音楽世界行ってこい」 「お師匠、てなわけでの意味が全く理解出来ません」  それはある日のことでした。  炬燵で茶を啜っていたお師匠――もとい私が住む現実世界を7日間で創った現世最高神フェンシエンス・ヘリオスは、突然そんな無茶振りをしてきました。  ええ、無茶振りです。これを無茶振りと言わず何と言うか。 「というか何でその世界なんですか。私、何度もそこへ遊びに行ってますよ?」 「そんなことは知っている。だが今は急を要するんだ」 「部下に頼めば良いじゃないですか」  それを何故弟子の私に頼むのかが分からない。  そもそもあんた、数多くの優秀な部下をとり揃えていらっしゃるじゃないか。  特に姉御のリナシタさんや、癒やし系お兄さんの唄片(ウタカタ)さんは私よりか遥かに実力と力量を持ってると思うんだけど。  フェンシエンスと同じく炬燵に入って茶を啜った私は、退散しようと立ち上がる。  これ以上此処にいたら本当に行く羽目になりそうだ。  あ、気晴らしにポップンでも行こうかな。  傍らに置いておいた鞘入りエクスティンを持ち、私が足早に向かった玄関でランニングシューズを履いた時だった。 「つーわけでよろしく」 「いやだから行かないし…って、え?」  振り返った先に、清々しい表情で左手をしゅたっと挙げながら右手で指を鳴らしたフェンシエンスを見た時には  私の足元に、人一人は余裕で通れる穴が空いていた。  え、これってまさか 「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁあ!?」  私は背中に翼が生えていなければ、浮遊も出来ない只の人間である。  そんな私は当然、その穴から真っ逆様に落下していった。  あ、なんか頭の中でサ●ンオールスターズの曲が流れ始めたよ何でかな。 「ちゃんと護衛兼相棒つけといたから安心しろよー」 「あ、左様ですか…ってそういう問題じゃねぇだろうがぁぁぁぁあ!!」  護衛つけたからって行くとは言ってないぞ莫迦やろう。  しかしそんな気持ちとは反対に私の体は更に穴の奥底まで落下していった。  ――そんなわけで私は否応無しに音楽溢れた世界へ行く羽目になった。  とにかく帰ったら覚えてやがれよ。
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