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梅雨で雨が降り続け、この日はたまたま晴れた日だった……。
……━━
「ちぃ、いいものあげるよ。」
緑色のキャップをかぶって少し火にやけ黒い肌をした少年は、ツインテールにピンクのリボンをつけくまのぬいぐるみを抱えた女の子の目の前に何かを握った手を差し出した。
「なぁに?
まぁくん?」
ちぃと呼ばれた女の子は、まぁくんの手の中を覗き込んだ。
びょーん。
ちぃが覗き込んだ瞬間、まぁくんは手を拡げた。
まぁくんの手の中から勢いよく何かが飛び出した。
「ゲロゲロ。」
飛び出したものはかえる。
ちぃの顔を踏み台にして何処かへ行った。
「ぎゃ!」
驚いたちぃは短い悲鳴をあげた。
「やーい、やーい!」
ちぃの周りをかえるのようにピョンピョン飛び跳ね、まぁくんはからかった。
ぼちゃっ。
びっくりしたちぃは、抱いていたくまのぬいぐるみを川の浅瀬に落としてしまった。
「あ!
くまちゃんが!」
ちぃは叫んだ。
「あっ……。」
ちぃの声にハッとしたまぁくんは言葉が出なかった。
「あーん!
あーん!」
浅瀬からゆっくりと流れていく、くまのぬいぐるみをみてちぃは泣き叫んだ。
「うっ……。」
泣き叫ぶちぃの姿をみたまぁくんは罰が悪そうな顔をした。
タッタッタッ……。
浅瀬へ向かって走っていくまぁくん。
バシャバシャバシャ。
そして、躊躇する事なく川の中へ入って行った。
「まぁくん!」
まぁくんの行動にちぃは驚いた。
「あった!」
川の中からくまのぬいぐるみを拾い上げ、まぁくんはちぃの元へ持って行った。
「拾ってくれたの?」
びしょびしょのくまのぬいぐるみをちぃはもらった。
「いや、あの。
ごめんな、くまちゃん。」
くまのぬいぐるみと同じようにびしょびしょになったまぁくんは、申し訳なさそうに言った。
「ありがとう、まぁくん。」
まだ6月で川の水も冷たい。
そんな冷たい川の水の中にくまのぬいぐるみを取りに行ってくれたまぁくんに、ちぃは感謝していた。
「…………。」
まぁくんは自分のした悪戯がこんな結果を招いてしまった事を後悔していた。
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