水無月。

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「やい! まぁ坊! 俺と決闘しろ!」 まぁくんとちぃの前にガタイのいい男の子が現れた。 「あ、たっちゃん。」 ちぃにたっちゃんと呼ばれた少年は、所謂『がき大将』。 喧嘩の強いまぁくんをライバル視し、しょっちゅう喧嘩を仕掛けてくる。 「……やだ。」 毎度の事でまぁくんは正直うんざりしていたし、先程の『くまちゃん事件』で到底そんな気にはなれなかった。 「んだと? お前、ちぃと遊んでる方がいいのか?」 断られたたっちゃんは怒りをあらわにした。 ガッ! たっちゃんはちぃの抱いているくまのぬいぐるみを、強引に奪い取った。 「あっ!」 奪い取られたちぃは、驚き焦った。 「きったねぇ~。 ビショビショだ。」 たっちゃんはびしょびしょに濡れたくまのぬいぐるみを、まるで汚い物でも触るかのように摘んで振り回した。 「返してよぉ~。」 くまのぬいぐるみを奪われちぃは必死で取り返そうとする。 「やだよ~。」 たっちゃんはくまのぬいぐるみを返そうとしない。 ドカッ。 見兼ねたまぁくんは、たっちゃんを殴った。 いつもは自分から殴ったりしないまぁくんが、初めて自分から殴った。 「っつ……。」 殴られた拍子にたっちゃんは尻餅をついた。 「たつぽん! ちぃのくまちゃん返せ!」 尻餅をついているたっちゃんの前に仁王立ちし、まぁくんは怒鳴る。 「やんのか?」 まぁくんの怒りを察知したのか、たっちゃんは臨戦体制に入った。 「まぁくん!」 今にも食ってかかりそうな二人を見て、ちぃはオロオロしている。 ちぃの目の前で二人は取っ組み合いの喧嘩を始めた。 ちぃは思わず顔を手で覆った。 「くそっ! 覚えてろ!」 数分後、負けを認めたたっちゃんが捨て台詞を吐きながら去って行った。 それをみたちぃは、ホッと胸を撫で下ろした。 まぁくんを見ると、顔から血を流しはぁはぁと息を切らしている。
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