はんぶんこ

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 「明けましておめでとう」  二人で迎える初めてのお正月。  「おう!あけおめ」  「何で略すの?一年の始まりなのに…」  「アハハ。悪かったって。怒んなよ。ロクな一年になんねーぞ」  そうだった。  元旦だもんね。  「行くぞ」  優斗は自然に私に手を差し出した。  付き合って一ヶ月、未だに慣れない。  「おみくじ引こうね」  優斗はフッと笑って私の頭を撫でた。  「楽しみだな、初詣」  カラーン、カラーン。  優斗と並んで手を合わせた。  「ね、何をお願いしたの?」  「ナイショ」  優斗の表情は陽射しで見えなかった。  「おみくじは?」  「あ、やるやる!」  そう言って引いたおみくじは、凶。  「俺、大吉」  「ずるいよ優斗」  凶って何?初めて見たよ。  「じゃ、半分こな!良いも悪いも半分」  おみくじを二枚重ねて木に括ってくれた。  「願い事…」  (ずっと由奈と一緒に…)  (…ばか)  優斗は私の手を取って歩き出した。
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