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俺の名前は秋元 秀、今年で17歳
多くの少年が自分は特別な人間であると信じているなか、自分は特別な人間ではないと悟ってしまった現実主義な少年の1人だ
少し前までは勉強も運動も、何に対しても必死に努力し、向かい合って
どれもそれなりの成績を誇っていた
しかし自分がにはなんの能力もなくなんの才能もない、主役を張れる器じゃない
そう気付いてしまってからはいっそ潔かったとさえ自分でも思う
定期テストでは下から十指を使うまでもなく数えられる順位
体力もなく2km走るのがやっと
残る課題はホモ・サピエンスの称号を背負っていることにいつまで耐えられるかといったところか
なぜこんなに重大な事実にこんなに若くして気付いてしまったのだろうか
気付かなければ少なくとも自分のなかでは主役でいられただろうに
まぁこれ以上こんなダメ人間の話しをしていてもなにも面白くない、主に俺が
今大事なのは主役を引退したはずのこの俺がなぜこんな事件に巻き込まれているのかということだ
「ブシャアアアアア!」
なんだあの生き物は、そもそも生き物なのか?地球上、しかもこんな街中にこんなものが存在していいのか?
時は午後10時ごろ
友達と遊びその帰り道
何時もより少し帰りが遅くなり焦って自転車をこぐ
こんな俺でも一応親は心配してくれるのだ、ありがたい
しかし、急ぐ俺の耳に女性の悲鳴が聞こえた
気付いたら悲鳴の聞こえた方向に走っていた
これがただの野次馬心か、純粋に女性を助けたいと思ったのかはよく覚えていない
距離は少しあったがすぐに悲鳴の発信地は見つかった
そもそもここほど悲鳴の似合う場所もなかなかないだろう
ご存知廃工場だ
ただの不良なら
こっちは自転車、全力で逃げて警察にでも知らせよう
そう思って少しためらいながらも中の様子を覗く
ここで先ほどの奇妙な鳴き声が入ったと言うわけだ
襲われていた女性はどうやら気を失っているようだ
例のバケモノは2mはあるであろう体を左右に揺らしながらゆっくりと気絶した女性に近づく
俺は真っ先に逃げ出した
女性を助けようなんて考えてる余裕は全くなかった
家に着いてからはなんとか平静を装い、何事も無かったかのように家族と会話し普通に寝た
はやくあの事件を思い出にしてしまいたかった
次の日、まだ思いの外鮮明に記憶に残っているのが辛いが
それでも学校には行こう
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