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私も、同じ事を思っていた。
頂上が無限にあるみたく、どんどん大きくなる海斗への愛。
喧嘩をしても、会えなくても…毎日毎日募り膨らむこの愛。
「同じ事思ってるなんて…やっぱりずるいぃっ……」
同じように愛してくれていた事が嬉しくて、海斗の胸に顔を埋め涙を隠した。
そんな私の頭を撫で、海斗が更に囁く。
「…同じ?いいや、俺の愛の方が強烈だな。本当にお前を食べてしまいたい。体のもっともっと深くで、お前とひとつになりたい。そう、俺は毎日思っている。」
「か、海斗っ…エリさんが…」
あまりにも生々しい表現に慌てて顔を上げた。
しかし、そこに彼女の姿はない。
「気の効く子だな。」
クスクスと笑い、急に顔を寄せてきた海斗が私の唇を舐めた。
「……余所見は許さないと、言わなかったか?」
意地悪な笑みに心臓が跳ねる。
これから何をされてしまうのか。
本当に食べられてしまうんじゃないか。
そう脅える気持ちより、興奮と期待が私の心を支配していく。
余所見など、できるはずがない。
こんなに愛しくて美しい人から、目を反らせるはずがないのだ。
キスをしようと瞳を閉じる海斗。
私は、少しだけ瞼を伏せた。
この瞬間の海斗を、見逃さないように。
瞳の中のフィルムに映されるその姿は、なんとも甘く、そして官能的だった――――
END
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