海斗が海斗に戻る日

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「わあ、その方がお噂の奥様ですか!可愛いらしい方ですね!」 息をきらしたアナウンサーが満面の笑みで言う。 それに笑顔を返して、海斗は更に私を強く引き寄せた。 「皆さん覚えていて下さい。妻の名前は、遊里です。」 「?は、はい。遊里さんですね。」 何故もう一度念を押すように言うのか。 私もアナウンサーも不思議に思いつつ、海斗を見上げるしかない。 「…今夜の放送で語る皆さんへの想い、必ず聞き届けて下さいね。」 今までで一番の甘い笑みをカメラとファンに送ると、アナウンサーを始めそこにいる全ての人が頬を染めた。 それにムッとして海斗の腕から逃れようと思ったのに、海斗の一瞥で阻止される。 「では、インタビューありがとうございました。失礼します。」 「あ!いえこちらこそありがとうございました!なんとも色気漂う結城海斗さんでした。皆さん今夜の放送をお楽しみに!!」 まだ生放送の最中だというのに惚けてしまったアナウンサーが、ハッとして慌ててカメラに向き直る。 それを気にする事もなく、海斗は私の腰を抱いたまま車へと歩き出した。
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