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「ちっ…疲れるな…」
車に乗り込んだ海斗の第一声が、広い車内に響く。
「疲れたのはこっちだよ!何考えてんだよ母さんがテレビに映っちまっただろ!!」
斗真の怒鳴り声に苦笑しつつ海斗は自らのネクタイを緩めた。
「問題ない。今日からはまた俺が側で守るからな。」
「今日からって…放送終わったからってファンがいなくなるわけでもあるまいし…会社から出るだけであんな騒ぎになるのに守れるわけねぇだろ!!」
冷静な海斗が余計に腹立たしいのか、斗真の声は更に大きくなった。
それをハラハラと眺め、私は拳を握りしめ言葉を探す。
何故私をわざとテレビに映したのか。
何故私と約束があった今日インタビューを受けたのか。
一体、何を考えているのか。
聞きたい事は山ほどあるのに、口にすれば責めるような口調になってしまいそうでなかなか口を開けない。
「今日で大部分のファンも諦めてくれるはずだ。」
「は?…あんなニコニコ愛想良くしてて誰が諦めてくれるんだよ!!!」
「…俺を甘く見るなよ斗真。お前の父親は、確信もないのにこんな事を言う人間か?」
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