5458人が本棚に入れています
本棚に追加
食事を済ませ帰って来た私は、一直線に寝室へと向かっていた。
海斗はそのままシャワーを浴びると言って浴室に行ったので、しばらくは戻って来ないだろう。
時計を見ると、まだドラマが始まって30分程しか経っていない。
…海斗が言っていた、ラストのシーンには間に合うはずだ。
そう思い、着替えも後回しにしてベッドに潜り込む。
食事の間中当たり障りのない普通の会話を楽しんでいたが、頭の中ではずっと気になっていた。
海斗の本心って?
いったいどんな事を言ったの?
ワンセグに切り替えチャンネルを合わせると、羽山の泣きそうな顔が画面に映し出される。
『俺…なにやってたんだろう。彼女に言われたんだ。病院でのあなたと今のあなた、どっちが本当なの?私には本当のあなたを見せてはくれないの?って…。』
どうやら、意中の彼女の前でナイトそっくりの遊び慣れた男を演じたが為に、気持ちがすれ違ってしまったらしい。
『…だから最初に言っただろう?お前にはお前の良さが、俺には俺の良さがある。…本当の自分で勝負しない人間に、誰が惹かれるっていうんだ。』
最初のコメントを投稿しよう!