海斗が海斗に戻る日

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ワイングラスを拭きながら、ナイトが苦笑した。 そして、真剣な瞳で更に続ける。 『…お前は頭が堅くて、お人好しで。でも患者を一番に想って医者をやってきた。だから、患者がお前を慕うんだろう?…本当のお前は、もう充分良い男だ。安心して素の自分でアタックしてくれば良い。』 『…まだ、間に合うかな?』 『間に合わせろ。男だろう?』 ふっとかっこ良く笑ったナイトに頷き、羽山はBARを飛び出した。 「…かっこ良いなぁ…。ラストのシーンてどのへんなんだろう…このシーンは違うよね?」 ブツブツと呟きつつ、画面から目を反らせない。 羽山は見事彼女の気持ちを掴み、数日後に彼女を連れてナイトのBARに出向いた。 『礼なんて良いのに。…俺は何もしてない。』 『そんな事ない!お前が居てくれたから俺…。あ!なあ、お前には好きな女性はいないのか?』 『なんだ急に。』 『いないなら、うちのナースを紹介するよ。なかなか美人揃いだし。何かお礼がしたいんだ。』 なんて事を言うのだろう。 お芝居とはいえ、海斗が美人ナースと…なんて考えたくもない。
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