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これが問題のシーンだと分かれば、あとは一語一句漏らさず聞くだけだ。
私は息を飲みナイトの声に耳をすませた。
『俺が守りたいのも、側にいて欲しいのも…あいつただ一人だけだ。それ以外は俺の目にも映らない。俺が笑った顔しか見せない相手は…俺にとってはどうでも良い相手って事だ。』
『辛辣だな。そんなに大事か。』
『当然。…俺の体、心。髪の毛一本や爪の先まで…全てがあいつだけのものだ。あいつの笑顔にどれだけ救われ、支えてもらったか分からない。あいつを傷つけるものは…例え蟻一匹でも許すものか。』
黒い、怖い程の怪しい笑みを見せ、ナイトが拳を握りしめる。
蟻一匹って…多分それはファンの事だよね?
そんな事公共の電波に乗せて…しかもドラマのセリフにまでしちゃって…大丈夫なのだろうか。
そして…ナイトの言う「あいつ」って、もしかして…いや、もしかしなくても…。
『名前は?彼女の名前くらいなら教えてくれても良いだろ?』
羽山が興味津々といった様子で身を乗り出す。
ナイトは薄く笑い、静かに口を開いた。
『ゆうり、だ。』
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