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携帯から聞こえてくる、ナイトが…いや、海斗が私を呼ぶ声。
愛しそうに、温かくその名前が響く。
その名前を呼んだ時のナイトは、紛れもなくいつもの海斗の顔をしていた。
全ての疑問が解けたようだ。
何故海斗が私の名前をファンに覚えさせたのか。
何故今日、インタビューまで受けて必ず最終回を見るよう呼びかけたのか。
全ては、ファンに分からせるためだったのだ。
ファンの行き過ぎた行動を止めるためだったのだ。
そしてそれは、私達家族を守る事に繋がる。
分かった途端涙が溢れて、携帯の画面は見えなくなった。
まだ羽山とナイトが何か話していたけど…胸がいっぱいで耳に入ってこない。
涙を流し、ベッドの上で声を堪えた。
「ほう?ワンセグね…機械に疎いお前なら気づかないと思っていたが…よく思いついたなぁ?」
その時。
頭上から怒りのこもった声が聞こえてきて、涙と共に私の体が硬直する。
「絶対に見るな、と言っておいたはずなんだが…よっぽどお仕置きされたいのか?」
「ご…ごめんなさ…」
怖くて頭上を見る事はできず、硬直したままなんとか謝罪の言葉を口にした。
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