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「…あんなにたくさん女性がいたのに、よく私に気づいたね。」
「お前以外の女はみんな南瓜かなにかにしか見えない。南瓜の中に人間がいたら、普通気付くだろう。」
なにを当然の事を。
とでも言いたげに眉を潜めた海斗に、クスッと笑ってしまう。
「今日で、終わりだ。全て終わった。」
笑った私の頬に手のひらで触れ、海斗が微笑んだ。
「…ファン、減るかしら?」
海斗の突き放したあのセリフに傷ついて離れていくファンは、いったい何人いるのか。
元々素の海斗だって素敵な人間なのだから、あまり減らないような気もしてきた。
「減らす。どんな手を使っても。」
「……なんか怖い事考えてないよね?」
「ところで。」
無理矢理に話題を変えようとしている海斗に気づきつつ、これ以上突っ込んで聞くのも恐ろしいので口を閉じる。
「何か他に言う事はないのか?…こうして、二人でベッドに座っているというのに。」
……そういえば、そうだ。
今、私は海斗と二人きりで。
ベッドの上で。
そう気付いた途端、二人きりになれるのなんて久しぶり過ぎて、一気に胸の鼓動が早くなった。
「…その、瞳…いつもの、海斗だね。」
誘惑の色を灯した意地悪な瞳は、今までと何も変わらない。
ただ一つ変わるとすれば…そこに灯った欲望が、いつもより激しく燃えている事だ。
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