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「ずるい?じゃあ、お返しをしよう。」
ニヤリと笑い、海斗が片手で私の頭を引き寄せる。
そして耳元に唇を近づけ、寝起きのかすれた声で囁いた。
「…遊里、愛してる。この命さえくれてやっても良い程に…お前だけを愛している。」
「っ…!」
耳に直接吹き込まれる、愛の言葉。
それは熱を帯びて私の体を巡り、甘く溶かしていく。
「…やっぱり、ずるい…。」
火照る頬を隠さず呟き、私は引き寄せられるように海斗の唇を塞いだ。
「ほんっとにすみませんでした!!!」
数日後。
我が家には羽山の妻、エリさんの姿があった。
リビングに通していきなりエリさんに頭を下げられ、私は慌ててそれを止める。
「なっなんで謝るの!?」
謝られる理由が分からなくて、動揺で声が裏返ってしまった。
「…祐ちゃんが、海斗さんに無理なお願いをしたせいで…あんな騒ぎになってしまったんですよね?」
「え…」
「私…遊里さんがどんな気持ちでいるのかと考えたらっ…絶対謝らなきゃと思って…」
言いながらエリさんの目がどんどん潤んでいく。
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